ハロプロ戦国記

第3話 先手必勝
「もしもし、美貴ちゃん」
「亜弥ちゃん、珍しいねメールじゃなくって電話?」
「前にちょっと話したことがあったでしょ」
「何?」
ハロープロジェクト改革案・・・」
「あぁ、あれ」
「安倍さんと後藤さんと梨華ちゃん説得できたから」
「えぇっ、本当に。無理かと思ってたけど」
「まあね」
「動き出しちゃったんだ」
「だからね、美貴ちゃんにも手伝って欲しいの」
「本当は反対なんだけどね・・・しょうがないねもう止められないか」
「うん」
「わかったよ」
「ありがとう」


次の日、石川は積極的に動いた
まず、仕事場で美勇伝のふたり三好絵梨香岡田唯に宣言していた
美勇伝はもっとアグレッシブにいくよ。娘。にも負けない、Wにも負けないそんな気持ちで行くことにしたから」
「今日の石川さんテンション高くないですか」能天気に岡田が言っても
美勇伝石川梨華としてガツンとやってやるんだから」と石川は熱を帯びたままに
美勇伝は一致結束してやっていくんだからね、わかった」と熱く語り続ける
「はいはい、わかってますよ」ちゃかすように二人は答えた
「でね・・・」
ここでさっきの熱さが嘘の様に静かに二人に言った
美勇伝は一人欠けても美勇伝ではなくなるんだからね、美勇伝として一枚岩で行動します」
「はい?」
美勇伝は今度のハロープロジェクトリーダー選挙で安倍さんを推します」
「えっ、中澤さんじゃなくって・・・ですか」分別のある大人の三好が尋ねた
「そう、何かを変えるためにね」
いつもとは違う雰囲気をまとった石川梨華がそこにはいた
「わかりました」
いつもの笑顔はそこにはなく神妙な顔つきで岡田も三好も答えた
「これでよしっと」石川に笑顔が戻る
すぐに親友の柴田にメールする
「今日ひま?ひまあったらご飯一緒しない」


行きつけのパスタ屋さんで合流した石川と柴田のふたり
注文するとすぐに切り出した
柴ちゃんにもいろいろ思うことはあると思うの、けど今回親友の私に力を貸して欲しいの」
いつもとは違う石川に少し戸惑ったように
「何かあったの?」柴田は尋ねた
「今度のハロプロリーダー選挙でね、わたし安倍さんを推そうと思ってる」
カタン・・・柴田は食べていたパスタのフォークを落とした
「なにそれ」
「何か閉塞感打ち破るようなことできないかなと思っててね」
「ふ〜ん、そういうこと。で、勝てるの?」
「勝つために今頑張ってるってとこかな」
「私でよかったら協力するよ」
「ありがとう、お願いします」
「メロンの3人にも声掛けようか」
「ちょっとまって、慎重に計画を進めているから、まず亜弥ちゃんと相談しないと」
「へぇ、作戦はあややがたててるの・・・」
「うん、柴ちゃんは説得する自信があったから亜弥ちゃんに先に許可をもらったわけ」
「へぇ〜、そうなんだ」

「これで8人か・・・」
石川から報告の電話を受けた松浦は呟いた
「先手必勝」
誰も聞いていない部屋でぽつりと言った