ハロプロ戦国記

第1話 嵐の予感
ハロプロのリーダーを選挙で選んだら盛り上がるんちゃうんかな』
それはいつもと同じように彼の思いつきによる一言だった
深い思慮など期待すべくもなく
それがどんな事態を引き起こすかもしれないといったことなど
彼には関係ない
ただ、面白いかインパクトがあるかそれだけが重要のように思える彼の言葉
いつも右往左往するのは周辺の人間達
そんな天の声が今回の波乱の幕開けだった


そうするとあとは坂道を転げる小石のようにあっという間に事態は進んでいく
こうしてハロプロメンバーの互選によるハロプロリーダー選挙が実施されることになった
しかし、この時点では
ほとんどの関係者が選挙の準備をしながらも
二人以上立候補して選挙が成立することさえにも疑問を持っている状況だった



ハロプロリーダー選挙のあらましがメンバーに伝えられた日
放送終わりのラジオ局の廊下で
「おつかれさまでした〜」
スタッフに挨拶をしながらメールを打つ松浦亜弥がいた
そしてそのメールの相手から折り返しの電話が掛かってくるのに
そんなに時間はかからなかった
「一体何なの?あのメール」
「あぁ、美貴ちゃん。そのままに受け取ってもらっていいよ」
「そのままって・・・」
「そのままだよ」
少し頭の中がパニくって混乱してる藤本に松浦は冷静に言った
「折角選挙するって言うんじゃない。無投票じゃ面白くないでしょ。それにちょっと今のハロプロには不満もあるしね」
「亜弥ちゃんが立候補する気?」
「私じゃ無理だよ、勝てっこない。戦うからには勝たないと」
「勝つって、何か作戦でもあるの」
「まあね、ただ美貴ちゃんには味方になって欲しいなとは思っているんだよ」
「まぁ、力を貸さないわけじゃないけど」
「まだ担ぐ人の説得もしてないからね。すべてはそれから」
「なにそれ、その人がうんって言わないかもしれないじゃない」
「それは大丈夫だと思う。説得する自信はあるから」
「でも、中澤さんに勝てる候補って誰?」
「中澤さんに匹敵する経歴と経験と人徳のある人、あと敵が少ないというのも魅力的かな」
「中澤さんと同じ経歴と経験って娘。の初期メンバーくらいしか・・・」
「あったり〜、愛嬌があって憎めない人いるでしょ」
「えっ、まさか」
「そう、今思いついた人多分あってると思うよ。これなら少しは勝てる可能性があるでしょ」
「うん、まぁ。けど、中澤さんと対決するようなことOKするかなぁ」
「もう少し策はあるからね、結構自信はあるんだけど。じゃ詳しいことはまたね。おやすみ」



藤本は携帯をおいてはぁ〜ってひとつ溜息をついた。
「ありゃかなり本気だね」
松浦亜弥が今ハロプロにひとつの小石を投げ込もうとしていた