ハロプロ戦国記

第2話 仙台決起
フルキャストスタジアムでの楽天イーグルスのイベントのために
DEF.DIVAの4人が仙台にいた
松浦はこの仙台で仕掛けを完成させるつもりでいたので
イベント前の控え室に4人だけの時間ができたとき
「今しかない!!」松浦がすっと3人に声をかけた
「ちょっといいですか」
「なに?」「ん?」「えっ?」三人三様だが不思議そうな声で松浦を見た
ハロープロジェクトに少し喝を入れようと思っているんですが協力してもらえませんか」
「ん???」3人は顔を見合わせた
「どういうこと」安倍が尋ねた
「今のハロプロって緊張感無さ過ぎだと思いませんか」
「ふ〜ん」後藤が乗ってきてくれた
「よく言えば仲がいいってことなんですが、仲がよすぎて個々の主張が弱いと感じませんか」
「まあね」安倍も乗ってきてくれた
松浦は心の中でこれでいけると確信した
「具体的には何をしようっていうの」石川が聞いてきた
松浦は深呼吸してから3人を見つめて
ハロプロ内で切磋琢磨できる環境を整えて、個々が成長のためにもっと努力すること。
ライバルは仲間達であり、自分自身だということをしっかりと心に刻むこと」
だと言い切った
「娘。の最初の5人はオーディション落選組ですよね。あの頃は娘。内にもライバル同士の競争があったし対外的にも鈴木あみさんとの競争があったそうじゃないですか。ハングリーな状況でやっていたわけです。」
「まあね」当時を唯一知ってる安倍が答える
「美貴ちゃんは娘。落選組で私も美貴ちゃんもソロでデビューとなった時には安倍さんや後藤さんのいる娘。に負けるものかという意気込みで頑張りました。だからこそここまで頑張ってこれたんだと思います」
松浦はここぞとばかりに自分の思っていることを話し続けた
「数字に縛られ過ぎてもいけないとは思いますが、以前のシャッフルユニットのように数字の直接対決があってもいいんじゃないかって思うんです。勝って素直に喜び次も慢心せずに頑張ろうと思えばいいし、負けてもさらに努力して次こそはって頑張れる。」
興奮気味に話を続ける松浦の頬は赤みを帯びてきた
「皆が喧嘩するような関係になれといってるわけじゃないんです。ただ、良きライバル関係がないと成長できないと思うんです。今、外部にそういう関係を築く相手がいないとなったらハロープロジェクト内で作るしかないじゃないですか」
「昔、のんちゃんが言ったことがあってね。同期のあいぼんとわたしがタンポポよっすぃ〜プッチモニに加入した時焦ったし、その後ミニモニができたときはうれしかったし頑張ろうと思ったって・・・」ぽつりと石川が言った
「今回楽天の応援歌を私たちが歌ってイベントに来ているんですけど、本当は娘。の人たちは言うべきだったんです。なんで私たちじゃダメなんですかって。本気で応援していなかったみたいじゃないですかって。楽天というチームと娘。が境遇が似ているからという理由は嘘だったのかって」
3人は松浦の迫力に推されながらも少し納得してきていた
「で、さしあたってなにをするの」後藤が訊いた。事実上の同意宣言である
「今回の選挙でハロープロジェクトのリーダーを取ります」
「えっ、裕ちゃんと戦うってこと」安倍が声を上げた
「裕ちゃんは話してわからない相手ではないのだから、なんなら私が説得するけど」
「はい、中澤さんには非はないですが人心一新で行くことをアピールするためにも交代していただこうと思っています」
「で、新リーダーは言いだしっぺの亜弥ちゃんがするの」石川が聞いてきた
「私じゃ先輩達が納得しませんよ」笑いながらこたえた
「安倍さん、お願いします」松浦が真顔で言った
「えっ、わたしには無理無理」
「中澤さんを引き摺り下ろすんですよ、それなりの人じゃないと収まりつかないじゃないですか。安倍さんはハロープロジェクト歴が中澤さんと同じですし、人望もありますし何より敵が少ない」
「だけど、この4人だけじゃどうしようもないよ」後藤が核心を突く質問をした
「今回この話に皆さんが乗ってくれなければあきらめるつもりでした。けど、この4人の協力ができたら勝算はあります。」
「どういうこと?」
「安倍さんが中澤さんと争うなんて誰が思います」
「そりゃそうだねぇ」と後藤は手を叩いて笑った
「後藤さんと私が手を組むなんて誰が思います」
「それはいえる」安倍も笑っていた
「それよりなにより選挙が本当にあるなんて誰が思っています」
「そうだよねぇ」石川も笑っていた
「少なくとも相手方よりも早く選挙活動に入って先手を打つことができますから」
「なるほどねぇ」3人は妙に納得してしまった
「今回のことはできる限り秘密裏に進めて行きたいと思っています。あまりに早くこっちの動きがわかってしまうと相手側に逆襲される可能性がありますから、確実に固めて行きたいと思います」
美勇伝の二人と柴ちゃんは任せて」
「お願いします。あと後藤さんと私でベリーズ工房と℃‐uteを完全にこっちの味方にしたいと思います」
「OK」後藤が手を軽く上げて返事をした
「私はなにしたらいいの」
「安倍さんはリーダー候補ですから、傷がつかないように今は動かなくてもいいです」
「そうなの」
あはははは・・・・
「では、よろしくお願いします」
こうして計画はスタートした